経済学部 境一三 - 今、外国語教育が養うべき「複言語・複文化能力」

Опубликовано: 15 Июль 2026
на канале: Keio University Hiyoshi Research
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慶應義塾大学経済学部教授 境一三 研究紹介


慶應義塾大学経済学部 境一三教授は、複数外国語教育を通して、早くから複数の言語や文化に触れることで、言語文化的な「気づき」を養成し、異なるものへの心を開く教育を実現するための制度・人的リソース・カリキュラム・教材・教授法なとについて考究しています。

「他の近隣の諸国と比べても、日本の場合はほとんどの学生にとって大学教育になってから第二外国語を始めるというのは実は先進国の多くの国に比べると、むしろ特殊なケースなんです。
人間と言うのは誰しも相手が自分に対して尊敬の念を持ってくれて自分の文化自分の言語を少しでも学んでくれたという時に心を開くんです。それが英語はとっかかりであって、まず第一歩は知り合うために英語で話しましょう。これはいいです。これは必要です。しかしその先はどうなのか、その先はお互いがお互いの言葉を少しでも学ぶと言う意識をもつと言う事が一番大切なことなんです。」

慶應義塾は、小学校から大学まで英語教育が行われると同時に、中学段階から高校、大学まで第二外国語教育を継続的に提供している、日本では希有な教育機関です。その特徴を生かし、日本ではまた本格的に行われていない、英語を含む複数の外国語の一貫教育における複言語・複文化能力養成の研究を行っています。

「ただ、実際に我々が教育の現場にいますと、本当にきちんと高校の段階で第二外国語をやった学生たちの力を伸ばしきれているのかな、というのは、前々から我々は内心忸怩たる思いをもっていたわけです。実は我々がもっとうまい良い教育体制と支援体制を作れば彼らの力をもっと伸ばせるんじゃないかなというような思いはみんな抱えていたんです。ただ実態が必ずしもわかっていなかった。
で、この科研の研究の中でやったひとつの一番柱になるものは、その実態調査です。高校から大学にあがった学生たち、この既習クラスにいる学生たちに、大々的なアンケートを致しまして、そして彼らがどういうような事をやり、どういう希望を持ち、どういう不満を持っているのか、という事をきちんと把握する。同時に既習クラスを担当している先生にアンケートを致しまして、先生方から見た既習クラスの現状はどうなのかも詳細に調査しました。これが我々の今回の科研の研究の柱のひとつです。」

学生が日本語、英語を含む言語・文化能力を十分に涵養することは、二一世紀における日本社会の維持と発展のために、また日本が国際社会でしかるべき役割を果たす上で、喫緊の課題となります。

「グローバル化というのが外に目を向けたグローバル化というのもありますが、もうひとつ私は内なるグローバル化と言っているんですが、日本社会が人口減少で様々な職種で色々な方を外からお呼びしなければこの社会は成り立たないと言う状況になっていて、そういうような時に私達いわゆる『在日日本人』つまりマジョリティ側の日本語を母語とする人間が、新しく来た方、もしくは古くからいらっしゃる方でも文化的言語的背景が異なる方に対してどれだけ理解を示すのか、単にそういった事を全部日本の世界に取り込むというのではなく、我々マジョリティの側が彼らに心を開いて、彼らと新しい形でのコミュニケーションを行う。新しい日本の社会のあり方を彼らと共に模索すると言うようなところまでしなければいけない段階まで来ていると私は思います。それは内なるグローバリゼーション。そういったものだと思います。そういった時に教育の現場があまりにも遅れていて、あまりにもそれに対応していない。
ですから英語はまったく欠かせない物なんですが、それを一歩出ようよ、というのが、我々が今提案したい事なんです。」